1999年03月01日 朝刊 オピニオン 005 01317文字
 

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これ以上、延ばせない ピル承認(社説)

 「信じられない」
 スピーチを終えた民主党の参院議員、小宮山洋子さんを、各国の代表が驚きの表情を浮かべて取り囲んだ。日本では、ピル(飲む避妊薬)を使えないと話したからだ。
 オランダのハーグでこのほど開かれた会議での出来事である。
 「性と生殖に関する健康と権利は、女性の普遍的な人権である」とうたった一九九四年のカイロでの国際人口・開発会議から五年。会議は、その後の各国の取り組みを検証するのが目的だった。
 世界でも、ピルを認めていないのは、いまや日本だけだ。承認を遅らせる合理的な理由は見いだしにくい。
 最終的な判断を下す中央薬事審議会の常任部会が三日に開かれる。速やかに承認の方針を打ち出してもらいたい。
 ピルは、仮の妊娠状態をつくりだして排卵を抑える合成ホルモン剤である。米国で六〇年に初めて認可された。高い避妊効果が確認されると、急速に普及した。
 日本でも認可に向けて調査が始まった。だが、六五年に薬事審議会の検討は突然、中止された。簡単に避妊できるようになると女性の性のモラルが乱れる、との意見が政府内に強かったからだといわれる。
 九〇年には、製薬九社からホルモン量を減らして副作用を少なくした低用量ピルの申請が出された。九七年には、薬としての有効性や安全性も確認された。
 なのに薬事審議会では、エイズ感染が拡大するおそれや少子化、果ては内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)問題まで持ち出されて、審議が長引いている。承認を先送りするための口実としか思えない。
 ピルは、四十年の歴史のなかで、薬としての改良が重ねられてきた。
 どのような女性が使うと危険かということもはっきりしてきた。三十五歳以上のたばこを吸う女性、肝機能に障害のある人、乳がんを患ったことがある人などだ。
 一方で、卵巣がんや子宮内膜がんの危険性が減る副効用もわかってきた。
 現在、ピルの利用は月経困難症などの治療に限られている。しかし、実際には約二十万人が、治療用の中用量ピルを副作用を気にしながら避妊に使っている。おかしなことではないか。
 カイロ会議で確認したように、できるだけ安全で多様な避妊の情報と手段を用意することは、女性の人権保障につながる。
 ハーグでの会議を経て、六月にニューヨークで開かれる本会議では、各国が課題にどれほど真剣に取り組んだかを話し合う。国連人口基金への最大の援助国でありながら、自国ではピルを認めない日本を、国際社会はどう受け止めるだろうか。
 ピルだけではない。避妊効果の高い銅つきや薬つきの子宮内避妊器具(IUD)も日本では認められていない。近代的な避妊法を封じた結果、いまだに年間三十三万件を超す人工妊娠中絶が行われている。
 厚生省は、国際的な動向や女性の人権にあまりにも鈍感だと言わざるをえない。
 男性のぼっ起不全治療薬バイアグラの素早い承認と比べると、違いが際立つ。
 バイアグラは、アメリカで百二十人以上、日本でも一人の死亡が確認されている。にもかかわらず、中央薬事審議会は申請から六カ月で承認した。その間、男性の性道徳が乱れるとか、性感染症が増えるといった議論は、とんと聞かなかった。
 二重基準と批判されても仕方がない。

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